漢方薬局の片隅で

日々の子宝カウンセリングのなかで「心が動いたこと」「伝えたいこと」を中心にアップ。
タマゴのち天使

「最後の治療」の終わりと始まり

2024年07月23日
テーマ:Messege for you

 

「最後の治療」の終わりと始まり

 

妊活カウンセリングを行なってそろそろ20年近く

これまで、たくさんの女性、ご夫婦のカウンセリング、漢方相談、対話

を通して、私自身の人生観も大きく影響を受けてきました。

 

きょうは1組の夫婦のことを記したいと思います。

 

不妊治療については、

授かっても、そして、授からなくても

治療にはいつか「終わり」というものがやってきます。

 

 

「授からないままに 治療を終結をする」

 

という意思決定は

ご夫婦にとってとても過酷なことであること

今まで行ってきた経過に対しての後悔の念

自己尊重感の低下、怒り、無気力

そんな感情を伴うものです。

そら

 

わたしは、ネットの広告ありがちな誇大宣伝PRがきらいです

例「40代の妊娠率80%以上!」とか

「卵子の質が良くなる」という言葉をいとも安直に記すサイト

(それなら不妊治療自体が減ってゆくはずでは??)

—————————————————–

1回の不妊治療で子どもを授かる率は、

30歳代後半になると急激に下がり

40歳では10%、43歳では4%

(日本産科婦人科学会)に下がる

スクリーンショット 2024-07-23 17.41.16

—————————————————–

 

もちろん、個々の体質によって、

そして子宮内膜症などの病気や症状によって

そして、卵巣の機能によって、

なによりも年齢によって

妊孕するチカラは大きく違う。

 

授かった症例も書いてきたし、

その裏で、一生懸命努力しても授からなかった症例も

事実を伝えること、として

ときに書いてきました。

 

本当にたくさんのそんなカップルを見送ってきました。

いまも「わたしたち、幸せだよ〜」と伝えてくださるかたも。

スクリーンショット 2024-07-23 17.38.29

 

 

7月の第2週

40代 最後の治療を終えたご夫婦から、
こんなメールが届きました
プライバシーに配慮し
ご本人に了解を経て転記します

———————————————————-✉️

結果陰性でした。(妊娠判定)

島田さんにご協力、アドバイスいただいたのに

いい報告ができなかったです

夫婦で泣きもしましたが、これからも仲良く長生きして

一緒に楽しんでいこうと思います

———————————————————-

メールをくださったあと、

さらに、心のうちをご夫婦でお話しにきてくださいました。

 

さまざまな感情がいまだ渦巻くなか、

ご夫婦のなかで、そして、わたしの認識のなかでも一致していること。

それは、「最善を尽くした」ということ。

 

 

体外受精を行うなかで、卵巣機能の低下がありなかなか卵子が採れない

そんななかでも、

何年も卵子が採れるまであきらめなかったこと

卵子が採れたあとは、

少しでも子宮内、骨盤内の環境をベストにするため、

子宮内膜症の手術も大きな病院で行ったこと。

 

そんななかでも、

ご夫婦はパートナーシップが素晴らしきことでした。

旦那様はいつも奥様の(気持ち)を大切に汲んでおられたし

奥様の話にしっかり耳を傾けて、あいづちを打つ姿に

単純な言い方ですが、胸が暖かになりました。

 

その優しきご主人様が、カウンセリング中

静かに 目の前で泣いておられる

 

今まで、奥さんをサポートする側に徹していた

そんなご主人さまの深い気持ちを想いました。

 

これから先、向かうメンタルは

————————————————————-

治療が終わって、この先どうやって生きていくのか?

ひたむきに持ち続けた目標を失い

なにをはりあいに生きてゆけばいいのか?

————————————————————-

 

しばらくは虚無感に襲われるかもしれません。

気持ちは行きつ戻りつを繰り返します。

 

でも、何ヶ月か?何年かしたら、

かさぶたが少しづつ剥がれて

きれいな皮膚が表れてくるように

気持ちにちゃんと「区切り」がつくでしょう

時々、傷口は痛むことがあっても

また、平常な気持ちに戻れることがちゃんとできます。

 

そしてもう、採卵の日を考えて予定をやりくりする面倒さも

自己注射の痛さ、採卵の痛さや

ホルモン剤を飲み忘れないように緊張した日々を送ること

その後の経過の緊張からもすべて解き放たれます。

スクリーンショット 2024-07-23 22.49.08

 

そして、、、極論ですが

子供がいても、いつか子は巣立つもの

巣立ったあとは長きにわたる夫婦生活があって

パートナーシップがしっかりしているほど

老年期も幸せだと思うのです。

 

その、最後のカウンセリングの日

奥さんが、愚痴を黙って受け止めてくれたご主人様に

「いつも ありがとうね」って真っ赤な目で感謝の意をお伝えされる姿。

 

その様子をみて、わたしもいっぱいこみあげるものがあり、

「お二人の妊活をサポートさせていただき光栄でした」

心底そう思えて、お伝えしました。

 

そして

このご夫婦はきっとこの先も幸せに違いない

と思った。

スクリーンショット 2024-07-23 22.34.19

このご夫婦の物語を忘れないでおこう

 

不妊治療や、癌の闘病、こころの病 など

自分が経験した事柄に

何らかの意味や解釈をつけることができた時

それはひとつの物語となり

小さな希望や未来への道筋が見える道ともなる

(ナラティブストーリー)

 

不妊カウンセラー 島田和美

関連記事

「着床しない」その背景①免疫
着床してからやってくる不安な気持ちや心理
体とこころに「自愛」を
穏やかな気持ちになれる「マインドフルネス」絵本
希望をつないで、46歳と47歳
低気圧頭痛の治し方★原因は「脳のむくみと血管拡張」
抗生剤使用のあとは「プレ」と「プロ」バイオティクス両輪で
漢方薬局の片隅で「承認欲求」について考えてみる
命のバッテリー「腎」:月経痛、頭痛持ち、ロキソニンを乱用するとどうなるか?
膣のエイジングケアについて(痛みのあるかたも)
ページトップ