まずは知って欲しいこと

まずは知って欲しいこと

男性不妊について

男性不妊は増加の傾向にある

全ての不妊原因のうち、男性側に問題がある場合が、24%、両方に問題がある場合も24%というデーターが発表されました。(WHO:世界保健機構による)
実に48%の「不妊」に男性が関与しています。男性の不妊原因には以下の症状があげられます。

乏精子症

精液中の精子の濃度が薄いものをいい、一般的には、精液1ml中、精子数が1500万以下をいいます。自然妊娠の可能性が低くなり、精子濃度が500万/ml以下になると自然妊娠の可能性は著明に低くなります。

無精子症

精液中に精子が全く見つからないものをいいます。自然妊娠は期待できませんが、精巣上部や精巣そのものには精子が見つかることもあります。造精機能障害の場合はMicroTESEなど、技術の高い専門医にかかることをおすすめします。

精子無力症

いわゆる「運動率」のこと。精液中に動いている精子の割合が、50%を下回るものをいい、自然妊娠の可能性は低くなります。もし、運動率が悪い場合、精巣内に長く精子を溜めれば、精子が酸化され、さらに状態が悪くなります。溜めれば良くなるというのは大きな間違いです。頻繁に射出することが大事なことです。

奇形精子症

精子を詳しく観察すると、上図のように様々の形をしたものがあります。正常な形をした精子が、30%にも満たない場合を、奇形精子症といい、この場合は受精が起こりにくくなり、自然妊娠の可能性はやはり低くなります。しかしながら、正常な姿形をした精子はもともと少ないもの、という専門家のお話もよく耳にします。

これらの症状を引き起こす原因

意外に知られていないのですが、男性不妊の原因のなかでも4割を占めると言われる精索静脈瘤(せいさくじょうみゃくりゅう)も男性不妊症の重要な原因の一つです。
どんな疾患かと言うと、精巣(睾丸)に血液が逆流して精巣の静脈血管が瘤(こぶ)状に腫れているもので、疾患自体は健康には影響はないものの、静脈のうっ血により陰嚢内の温度が上昇して、精巣の発育不全、精子の形成不全を引き起こし精子の質を著しく悪化させてしまうことになります。
90%が左の陰嚢に生じ、悪化すると陰嚢になかに太いミミズがいるようなボコボコした触感や、ときに痛みも感じる事があるそうです。精索静脈瘤の場合、外科的な手術によって、精子の数、動き、形の改善が期待できるばかりでなく、精子のDNAの質も良くなることが明らかにされています。もしかしたら・・・と感じたら、勇気を出して泌尿器科や男性不妊の外来にかかってください!それはパートナーのためでもあります。


2009年の米国泌尿器科学会では、精索静脈瘤 手術を受けたグループでは明らかに自然妊娠率が高かっただけでなく、手術を受けなかったグループでは62%で体外受精や顕微授精が必要になったのに、手術を受けたグループでは32%であったというデータが報告されています。

また、精子を作るおおもとの機能が、正常に機能しないという造精機能障害と呼ばれるものも多いです。多くは原因不明であり、精巣の中における精子の産生が少なくなっています。精巣では精子が作られているのに、精子の運搬に問題がある場合もあります。精子の輸送路が先天的に欠損しているものを精路欠損症と呼び、輸送路が閉塞している場合を精路閉塞症と呼びます。
射精された精子が膀胱に逆流する場合を逆行性射精と呼びます。精液量が1ml以下と少ない場合に疑います。染色体異常が原因で無精子症になることもあります。

不妊治療はことに、女性側に心と体の負担を強いることが多いと感じています。

不妊治療はぜひ2人で受けてほしいと思っております。だんな様の協力的な姿勢や優しさが奥様の負担をやわらげます。

また、ご主人さまの精液の状態が良くないと判明した奥様へ。

男性にとって、精子とは自分の分身のような存在であり、その状態が良くない、あるいは無精子と言われた場合は計り知れない苦悩や苦痛があるものです。だんなさまのお気持ちに寄り添い、接してあげてほしいと願っています。

 

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