まずは知って欲しいこと

まずは知って欲しいこと

卵管障害

卵管障害が起こる原因について考えられるもの

1.卵管炎

性交渉などを通じて女性の膣や子宮内に侵入した病原微生物が、卵管の中や周囲に広がり炎症を起こすと、柔らかくてもろい卵管は閉塞したり、繊毛を失ったりします。これが卵管炎です。特に卵巣や卵管の周囲の感染症は、付属器炎と呼ばれます。
さらに、炎症が広がり下腹全体に広がり始めると、骨盤腹膜炎と呼ばれます。
病原微生物として多いものは、クラミジアです。
他には、淋菌、大腸菌などの細菌や、ウレアプラズマ、マイコプラズマなどがあります。

■クラミジア感染症クラミジアは大きさで言うと細菌とウイルスの中間に位置する微生物で、性行為を通じて感染します。子宮頚管や卵管内、その周囲に炎症を起こし、症状が進むと卵管の癒着や閉塞を招きます。(特に最近増加している)
自覚症状としては、排卵前以外のおりものの量が増加し、下腹が重く、時には痛む場合に疑われます。
(しかし、自覚症状がない場合も多く、これがやっかいです)
高熱が出ることは稀です。
男性では尿道炎の原因となり、排尿時に痛みを感じる様になります。

2.子宮内膜症による癒着、キャッチアップ障害

■子宮内膜症とは
子宮内膜は、卵巣ホルモンの働きにより子宮の内壁に増殖する組織で、受精卵のベッドとなるものです。月経の時に出血とともにはがれ落ち体外へ出ていきます。子宮内膜症とは、この子宮内膜と同じような組織が卵巣や卵巣周囲、子宮の筋肉の中や、子宮の裏側のダグラス窩と呼ばれる所などで生え始めて増殖するものです。これを異所性の子宮内膜といい、その部位で出血し、炎症を起こし、その結果癒着が生じたり行き場のない血液がたまります。卵巣の中に血液がたまると、卵巣嚢胞を形成し、中の血液が古くなると卵巣チョコレート嚢胞と呼ばれます。また、子宮の柔らかい筋肉の中にできた子宮内膜症から出血が起こると、子宮の筋肉はだんだん硬く腫れてきます。これを、子宮腺筋症と呼びます。卵巣にできた子宮内膜症は、排卵を妨げたり卵巣周囲に癒着を招いて排卵された卵子が卵管に吸い込まれるのを妨げます。

■子宮内膜症の自覚症状
月経時の痛み、性交時の痛み、不妊症が特徴です。特に月経痛がだんだん強くなる場合は要注意です。痛みなどの症状が全くない場合もあります。

3.卵管留水腫

■子宮内膜症の診断方法
問診でまず特徴的な症状の有無を調べます。次に内診で、子宮の裏側が硬くなっていないか、痛みを伴うしこりが無いか、卵巣に嚢胞ができていないかを調べます。超音波検査、MRIやCT検査も有効です。血液検査ではCA125や、CA19I9の数値が高い場合に疑われます。腹腔鏡検査は最も確実な診断方法ですが身体的負担を伴います。

■卵管留水腫とは
卵管に細菌などが感染して炎症を起こすと、卵管内に分泌物や膿がたまって腫れあがります。この状態を卵管留膿症といいます。炎症がさらに進むと卵管の先の卵管采が閉塞し、中の分泌物や膿が吸収され、その後に水がたまります。この症状を卵管留水腫といいます。
卵管采が塞がってしまうと、排卵された卵子を卵管内に取り込めなくなり、不妊症の原因となります。
もう一方の卵管が正常であれば自然妊娠は期待できます。この卵管留水腫は子宮卵管造影などで発見されることもありますが、ラパロ(腹腔鏡)が1番確実です。

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