まずは知って欲しいこと
まずは知って欲しいこと

不妊の原因となる因子

不妊症は妊娠の成立過程のどこかに障害があるわけです。その主な原因を挙げてます。 (以下には卵子の老化によるものは含めていません)

1.卵巣因子

◉排卵障害(排卵しない、してもキャッチアップ障害が疑われ、妊娠に結びつかないなど)には、様々な要素があります。LUF(黄体化未破裂卵胞)があると、徐々に黄体ホルモンを分泌し、基礎体温でも高温期になるのですが、実は排卵しないまま黄体化してしまうということもあります。LUFは子宮内膜症などの癒着によって起ることもあるようです。

◉早発閉経など卵巣機能低下(低AMHなども含まれる)により、卵胞がなかなか育ってくれない。

◉PCOS(多嚢胞性卵巣)が疑われると、なかなか卵胞が成長しにくく、また排卵しにくい状態になることもあります。

2.卵管因子

女性側の不妊因子の約30%をもしめると言われます。その原因は内膜症や細菌感染(クラミジア)による卵管周囲癒着などによる機能障害と言われています。また、排卵しても卵子が卵管采(ラッパのような卵管の入り口)に取り込まれない「キャッチ障害」があることも。 卵管因子障害に関して次頁に詳しく記します。

3.子宮因子

子宮奇形、内膜側に出来た子宮筋腫、ポリープによるさまざまな因子が原因。特に、子宮内膜症の病巣や腹水にある炎症性物質が、受精や着床を妨げる可能性も指摘されています。

4.頸管粘液因子

◉排卵日が近づくと増える頸管粘液の分泌低下。

◉抗精子抗体(頸管粘液のなかに精子を敵とみなし攻撃してしまう抗体のこと)が存在するが、これは検査結果では、多くのかたが該当しないようです。

5.着床障害

◉受精卵の力(染色体異常も含め) PGT-A(受精卵の着床前診断=染色体の数的異常を調べる検査)を行って正常胚を移植しても着床率は6割ほど、というデーターが出て以来、いかに子宮の状態や全身の免疫の正常化が大切かを考える時代となりました。 (2020年)

着床の窓の検査( ERA=エラ) 体外受精で行う胚移植にて、胚盤胞移植を繰り返し行っても着床に至らない場合、内膜組織を採取のうえ遺伝子レベルで検査し、胚の着床時期がずれていないかを調べます。 ERA検査結果より、20~30%近くが着床可能な時期がずれていたというデータが出てきました。ERA検査の結果が出るには2~3週間ほどを要し、この周期には検査のみで移植はできません。

子宮内膜マイクロバイオゾーム検査(EMMA=エマ) 子宮内の細菌叢(細菌のバランス)をみる検査です。 子宮内膜に存在するの菌のバランスが崩れると着床の環境が悪化するとの報告があります。特に、乳酸桿菌(Lactobacilli)が90パーセント以上存在することが有効であるとのこと。 (もし検査結果にてバランスが悪かった場合、ラクトフェリンの膣座薬を移植の前日まで使用。)

子宮内膜炎の検査(ALICE=アリス) 子宮内の細菌の中で特に慢性子宮内膜炎(CE)の原因となる細菌の有無を検査します。CEは不妊症の女性の約30%に及ぶとも言われ、習慣性流産を引き起こしている患者に関しては60%に及ぶと言われています!! (私(島田)は、これは結構重要な検査なのではないかと思っています。) CEであることが判明した際は、抗生剤を服用し除菌します。 子宮内膜炎は、内膜の基底層(月経では剥がれ落ちない内膜の深い部分)に感染が起こっており、自然には完治しにくいとされているそうです。

◉子宮の形態異常(中隔子宮など)

◉黄体ホルモン数値や内膜の厚さ

主に上記の因子が関わっていると思われます。

◉着床はするのに「成長しない」「流産してしまう」は不育症についての項目を参照ください。

ページトップ