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子宝コラム

冷え症だと妊娠しにくいの?

「冷え症」とは、ただ単に手足が冷たいという自覚症状だけでなく、体温が常に36度以下の状態も指します。ではなぜ体が冷えていては妊娠しにくいと言われるのでしょうか?

それは、体が冷えると血行が悪くなり、血液が栄養や酸素を体のすみずみまで運ぶ働きが十分に果たせず、子宮や卵巣にも栄養や酸素はもちろん、血流に乗って運ばれる女性ホルモンさえも行き渡らなくなるからです。卵子の湿は血流力によっても左右されるので、これでは卵子を育てる力が不足してしまいます。

基礎体温を測ったことの無い方は、一度測ってみてください。低温期が36度以下の方や高温期が短い方は「陽気不足」といって、体温を上げる力が衰え気味です。また、腰から下がスースー寒い方は、骨盤内が冷えている可能性があります。太ももの内側には女性の生殖機能と関係の深い経絡があると言われています。

下半身の冷えには特に気をつけましょう。

繰り返し流産をしてしまうのですが

「妊娠しても繰り返し流産してしまう」というご相談がたびたびあります。
3回以上流産を繰り返す場合、血液検査の結果により「不育症」と診断される場合がありますが、流産の原因の60%〜70%は卵子の染色体異常だと言われています。
では、流産を起こりにくくするためにはどのような漢方薬が効果的なのでしょうか。
東洋医学では「腎は精を宿し、生殖をつかさどる」といい、生殖機能は腎でコントロールされていると考えていますので、補腎薬と言われる漢方を服用します。またすでに流産してしまった方には子宮内の残留物を「瘀血」と考え、きれいに活血して子宮内の環境を良くする漢方を使う場合もあります。
繰り返す流産を予防するには、その原因を究明することも大事です。2〜3回以上流産の経験がある方は、専門医にご相談を。

ストレスは不妊につながりますか?

不妊症にはさまざまな要因がありますが、最近特に注目されているのは、ストレスの影響です。心と体の機能(生殖機能)はとても深く結びついています。毎月規則正しくやってくる月経も、脳(下垂体)からの指令により卵巣のホルモンが反応し起こっているのです。この脳からの指令がストレスにより乱れると、卵胞の成長に影響を及ぼしたり、排卵しなかったり、ということが起こりうるのです。
長い間不妊治療を続けていたが赤ちゃんを授からなかった、という方がいったん治療をやめ、ストレスフリーになったところ、思いがけず子宝に恵まれた、という話しをよく耳にするのは、不妊とストレスとの因果関係でしょう。
東洋医学ではストレスの影響を受けた体を「肝」と「心」の疾患と考え、「気」をめぐらすように働きかける漢方薬があります。いつもストレスにさらされている、イライラや不安感がある、という方はご相談ください。

漢方で妊娠力を高めることは可能ですか?

はい、可能です。 妊娠力は「卵巣年齢」と「子宮年齢」に大きく左右されます。
実年齢=「卵巣&子宮」年齢ではありません。高齢でも妊娠できる人もいれば、20代でも卵巣や子宮年齢が低い方がいるのです。AMH(抗ミュラー管ホルモン)と言って、卵巣の実年齢を血液検査で調べることも可能です。
漢方薬には、ホルモン系に働く生薬が多数あります。その代表が、当帰や川芎、牡丹皮、芍薬などです。それら生薬の組み合わせにより、卵巣や子宮に働きかけ、妊娠しやすい体作りをバックアップします。女性の心と体に優しいのもうれしい特徴です。
また、ホルモン治療を長期行ってきたにもかかわらず、妊娠しない方には、漢方薬を服用しながらいったん乱れた体のバランスを取り戻すのも効果的でしょう。漢方薬で「冷え」を改善して骨盤内の血流を改善をすることも大事な妊娠力アップにつながります。

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